近松おこめの秘密基地

「ほっと一息。ちょっとお得」をテーマに、若者向けに様々なジャンルの記事を書いています

自分でつくった怖い話をほのぼのさせる遊び

「近づいてはいけないトンネル」

 

これは私が大学生の頃の話です。

私は関東のある大学に通っていて、当時付き合っている彼氏がいました。

寝苦しい夜が続くようになった7月のはじめ。

大学生ということで、まだまだ遊び盛りだった私達は興味本位で近くの心霊スポットに肝試しに行くことにしたんです。

そこは町外れの使われていない古びた小さなトンネルで、若者の間でけっこう有名な心霊スポットでした。


2人とも授業もアルバイトもなかった夜。

彼の運転する車でそのトンネルまで向かいました。

「もう怖いんだけどw」「雰囲気やばいよねーw」

トンネルの前まで到着した私達は、内心怖がりながらも、ちょっとワクワクしながらそんなことを話していました。

 

ゆっくりと車を動かし、トンネルの中に入っていきます。

トンネルの中は薄暗く、ライトをつけても前がよく見えないくらいでした。

さすがにトンネルの中に入ると、どちらともなく静かになり、ただエンジンの音だけが聞こえてきます。

 

中に入ると分かりました。

ここは本当に来てはダメなところなんだって。

私には霊感みたいなものはないんですが、入ってからずっと鳥肌が止まらなくなりました。

なんでこんな所に来たんだろうという後悔と共に、何事もありませんようにと祈っていたんですが、しかし・・・

 


ガタンッ

 


トンネルの中腹に差し掛かった所で突然車が大きく揺れました。「なんか踏んだな・・・」「え?大丈夫?」「わからん故障してなかったらいいけど・・・」私は今にも泣きそうでより一層何もないことを強く願いました。

 


 ですが、そんな思いとは裏腹に、車はだんだんアクセルを踏んでも動かなくなり、私達はトンネルの中で動けなくなってしまったんです。

 


「とにかく修理呼ぶしかないか・・・」彼は心霊スポットで取り残されたことよりも車が心配だったらしく、恐怖はあまり感じていないようでしたが、私は怖くて怖くてたまりませんでした。

 

その時。

 


ヒタッヒタッヒタッ

 


何か音が聞こえてきたんです。

「ねぇ!!何か聞こえなかった!?」「・・・気のせいだろ」

 


ヒタッヒタッヒタッヒタッ

 


その音は締め切っているはずの車の中に、嫌に大きく聞こえて来ました。「ねぇまた!!」「・・・」

 


ヒタッヒタッヒタッヒタッヒタッ

 


「これ足音じゃない!?」「まさか、そんなはず・・・!?」

誰かがこちらに向かって歩いて来ているんだと気付きました。誰もいないはずのトンネルで。

 


ヒタッヒタッヒタッヒタッヒタッヒタッヒタッヒタッヒタッヒタッヒタッヒタッヒタッ

 


「ねぇ!!早く車だして!!」「んなこと言ったって動かねーんだよ!!!!」彼は何度も車のエンジンをかけようとしましたが、動きません。

 


ヒタッヒタッヒタッヒタッヒタッヒタッヒタッヒタッヒタッヒタッヒタッヒタッヒタッヒタッヒタッヒタッヒタッヒタッヒタッヒタッヒタッ

 


「もうすぐそこまで来てるよ!!」「黙ってろって!!」足音が最初よりもはっきりと聞こえて来ます。

 


ヒタッヒタッヒタッヒタッヒタッヒタッヒタッヒタッヒタッヒタッヒタッヒタッヒタッヒタッヒタッヒタッヒタッヒタッヒタッヒタッ

 

 

 

「お願い!!早く!!」「くっそーーーーーーー!!!!」

 

 

 

 

ヒタッヒタッヒタッヒタッ

 

 

 

 

ヒタッヒタッヒタッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒタッヒタッ

 

 

 

 

 

 

 


ヒタッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私も一緒に連れていって」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


あれから13年の時が経ちました。

私は結局この時の彼と結婚し2人の子供に恵まれました。

それもこれもずっとあの時から、私達の車の後部座席に居座るようになった幽霊さんのおかげです。

 

あの時トンネルで、乗り込んできた幽霊さんは手慣れた手つきでスペアのタイヤを取り付け、パンクしていた車を直してくれて、私達は無事に家に帰ることができました。

その時から幽霊さんはずっと後部座席に居座るようになり、彼と喧嘩した時、辛いことがあった時はいつも仲裁に入り、仲直りさせてくれました。

 

幽霊さんはとても歌がうまく博識で、おかげで彼とのドライブ中に退屈したことがありませんでした。たまにうるさくはありましたが・・・w

子供をあやすのは幽霊さんが1番上手でしたね。

どんなに出先で泣き止まなくても、車に入って幽霊さんがあやせばすぐに泣き止むんです。

 


本当に感謝しても仕切れません。幽霊さんは本当にたくさんの思い出をくれました。

あの時私達の車に乗り込んできてくれてありがとうございます。

 

 

 

この話をしたのは、もう幽霊さんはいなくなってしまったからです。

幽霊さんがいるので、ずっと大事にしてきた車ですが、最近ついに廃車になり、やむなく車を変えたところ、幽霊さんはどこかへ姿を消してしまいました。

あのトンネルへも足を運んでみましたが、もうそこには昔の薄暗い空気は影も形もなく、真新しいアスファルトが敷かれた綺麗なトンネルになっていました。

 

私と彼はトンネルの側の森に新しい革靴を置いてその場を後にしました。

また足音が聞こえるのを少しだけ楽しみにして。

 

 

 

おわりに 

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というわけで、いかがだったでしょうか?


夏といえば怪談ですよね。


毎年毎年飽きもせず、この季節になるとホラー番組が盛り上がりを見せ始めます。


大のホラー嫌いのぼくにとっては本当に嫌な季節なわけなんですが・・・


ホラーの何が苦手かって後々ダメージがあるないことなんですよね。


寝られなくなったり、夜にトイレに行きたくなくて膀胱が破裂しそうになったりとか。

 

後味がいい怖い話があったらいいのにな~


と、ふと思ったので、本日は自分で作った怖い話を最後にぶち壊して、後味をよくしてみました。


結構楽しかったので気が向いたらまたやります・・・(笑)